中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックスに行ってきました。
芸術と聞いて僕が思い出すのが下の河合隼雄先生の言葉です。
だから、我々がこの世に生きているということは、僕に言わせれば、たとえばこの花を薔薇の花だと思って見ていること自体が、薔薇の花という名前をつけたことで限定しているのです。わかりますか。つまり、僕らの心の中で、薔薇の花というのは薔薇科の木の花であるとか、一本だいたいいくらくらいするとか、そういうことを知っていて、「ああ、何本あるな」と見ているのです。
これに対して、薔薇そのもの、あるいはそれに近いものを見ることができる人とはどういう人でしょうか。しかも、それが描ける人。それが芸術家です。だから、一本の薔薇を描いてもすごい迫力があるし、僕らがそれをものすごく高い値段を出してでも買うということは、画家が薔薇そのものに近いものを見て、それを描いているからです。我々はなるほどと感じさせられるけれども、自分ではなかなかできない。
芸術家というのは「融合」の世界にありながら、たとえば薔薇そのものを一つの絵として、一つの完全なイメージとして「分ける」世界に表現できるということです。ものすごいことですね。それが価値を持つわけです。「日本人」という病 河合隼雄著 静山者文庫より
この世のまだ言葉になっていないものを何となく感じとれる人はいますが、それを絵や文字や写真、造形物を通して、イメージとして具現化できる技術を持った人はなかなかいません。
僕もモヤモヤと感じ取れるものはありますが、具現化できる技術が無い。中・高校と真面目に勉強していれば良かったと後悔しますが、当時は勉強した知識が何に使えるのか分からなかったし、何のために勉強するのかという枠組みばかり考え捕らわれていた。遅いスタートとなりましたが今から勉強していくしかありません。
世の中には、この世の全てを言葉で表現できると思っている人がいて、その人にどんなに知識があっても話が面白くない。自分の技術や知識の全てを注ぎ込んでまだこの世で言葉になっていないものごとを表現しようとしている人の話や作品は面白いです。
僕が行ってきたのは、IAAES(旧里見小学校)です。
面白かったです。開催日は5月11日までですが、まだ行っていない人はぜひ行ってみてください。