ストレッチ教室にいらっしゃる首藤久義先生が編著された
『はじめてつかう漢字字典』がフレーベル館から昨年末に出版されました。
表紙のお化けちゃんを描いたのはSuicaのペンギンや千葉県のゆるきゃら「ちいばくん」を生み出した坂崎千春さん、デザインは祖父江慎さん、NHK「みんなのうた」のアニメーションを手がけているイラストレーター、井上雪子さんと豪華メンバーが手がけた一冊です。
私は首藤先生の幼児向け講演会のお話が好きでよく思い出します。
講演では、まず初めに外に出て子ども達に自然を体験してもらうそうです。
公園や森で四季を観察したり、風の音、鳥や虫の鳴き声を聞いたり、土や植物に
触ってみたりします。そして落ち葉や木の実や小枝を拾って帰り、教室で自分が
体験した自然を詩や俳句を作って発表しあうのだそうです。
そんな首藤先生の講演がそのまま表現されたような『絵さくいん』が私はとても
好きです。
まずは、子どもの『これは何だろう?』という感動や好奇心を沸きたてている
ような体験に親が気付いてあげて、そういった体験をする機会をたくさん作って
あげる。
子どもは自分が感動した体験を大人に頑張って伝えようとします。
初めは上手く言葉になりませんが、字を覚えて、文章の組み立てを練習して
少しずつ言葉が上達して相手に伝わるようになっていきます。
大人はそれが言葉になるまで我慢強く聞き続けてあげることが大切です。
自分の体験や考えや思いを相手に伝えるために言葉があるのだと私は思います。
いくらテストの点数が良くても、それができないのであれば教育の目的は半分も
達成されていないのではないでしょうか。
『絵さくいん』の他にも、1006字全てにイラストが付いていたり、イラストが
ストーリーで繋がっていたりと、子どもが楽しく字典を見るために数多くの工夫がされています。
(この完成度で926円(税別)の価格にも驚きました。)
春の入学・進級のお祝いにオススメする1冊です。
Body Motion Labでも試し読みできるので興味のある方は声をおかけください。
親の一方が英語話者で、家では英語と日本語をバイリンガルにしゃべっているという子どもが『英語で読み書きする』教科でハイスコアを取るのを見て、たいていの人は『それはあまりフェアな競争ではない』というふうに考える。
しかし、親が『すぐれた日本語話者』である子どもが『日本語で読み書きする』教科でハイスコアを取ることを『フェアな競争ではない』と考える人はほとんどいない。
それは『日本人は誰でも同じように日本語が使える』とみんなが信じているからである。少し考えれば、そんなことありえないということに誰でも気づくはずなのに。
~文春文庫『知に働けば蔵が立つ』内田樹著より