じじばばの機能

じじばばに、赤ん坊のころに抱いてあやしてもらった。

祖父は将棋を、祖母はお手玉や折り紙を教えてくれた。
将棋の勝ち負けは全く覚えていないが楽しかった。
相撲をとって遊んでくれた。全然かなわなかった。
肩車してくれた。
一緒に出かけると、まだ小さくて歩くのが遅い自分にいつも歩調を
合わせてくれた。
見上げると、優しい顔で見守ってくれていた。

成長して、いつの間にか祖父の伸長を追い越した。
一緒に出かけると、足腰の弱くなった祖父に歩調を合わせるようになった。
大丈夫か?と祖父の顔を見降ろして確認する。
相撲は、小学校の高学年くらいで負けなくなった。
年々、祖父はだんだんと軽くなっていく。

今は自分が姪を肩車している。
実家に帰って祖父と話す。まだ元気ではっきりと話すが、これから段々と
頭と舌が回らなくなってくるだろう。死んだ曾祖父がそうだった。

でも、自分に話しかけてくれることが嬉しいと思いたいし、意味は解らなく
ても聞く事そのものに意味を感じたい。祖父は、まだ言葉を覚えたての、
よく解らない自分の話を聞いてくれていたが、きっとそんな気持ち
だっただろう。

死んだ曾祖母は、死ぬ間際には自分のことを忘れてしまっていた。
学校から帰り、寝たきりの曾祖母のところに「ただいま!」と声をかけると、
「どなたさまで?」と返され泣いてしまった。体力が衰え、自分でトイレに
行けなくなり、オムツをするようになった。

泣いている自分に母が、「歳をとるとね、最後はみんな赤ん坊に戻るんだよ。」
と優しくなだめてくれた。

親子の年齢差だと気づけないことが、孫とじじばばの間にはたくさん
あると思うんです。

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