『臨床とことば』読書記録

たとえば、ある少年が家出し、非行グループに入っていたが窃盗
でつかまって、私が会うとする。
私が聴く態度で接していると、彼は自分の父親が酒ばかり飲んで、
自分のことを何もかまってくれなかったと訴える。
そのときに、どんな応答があるだろう。

1.『それで、お父さんはどんな職業?』
2.『大変なお父さんだけど、お母さんはどうだったの?』
3.『ずいぶん辛かったね』

4.『悪いお父さんだね』
5.『そんなお父さんなら、君が非行に走るのも当然と思うよ。』

考えるといくらでもある。
『ハァ・・・・・・』と言うだけ、という応答もある。
~      

(「臨床とことば」 河合隼雄 鷲田清一 より)

少年の気持ちと、臨床者との距離について河合先生が例を挙げて説明している。
上の例では、1が一番少年の気持ちとの距離が遠く、5が一番近い。

常に一定の距離を保てば良いというわけでもなく、時と場合によって相手との
距離を縮めたり、距離を長くとったりすることが重要だそうだ。

治療や指導でもこの距離感というのがとても大切で、僕も常に意識している。
距離を縮めすぎて、相手が僕に『依存』されても困るし、距離が遠すぎて話を
聞いてくれなくても困る。

『依存』するな、って突き放すわけじゃないんですけれど。心の片隅に 
『拠りどころの中の一つ』 くらいで感じていただけると嬉しいな、と
思っています。

『依存』すると自分で物事を考えなくなるから、あまり良くないです。

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