2010.08.11
「なぜ日本人の体型は胴長短足だったのか」2の⑤
・『ウォーキング』と『すり足』
少し簡易化して説明しますが、人間の歩行動作は、
・『脚を前に運ぶ』動作
・『脚を後ろに伸ばす』動作
の2つの動作の繰り返しで行われています。靴で歩くと、脚を後ろに伸ばす動作を中心とした歩行になります。これに対して、下駄では、脚を前に運ぶ動作を中心とした歩行となります。
【靴での歩行】 【下駄での歩行】
ウォーキングの講習会に行くと、
『後ろ脚の膝を伸ばし、つま先で地面を蹴って、身体を前に進める。』
というような説明を聞きますが、下駄でこれを行うのは難しいです。
下駄での歩行は、『ウォーキング』動作ではなく、『すり足』動作になります。すり足での歩行は、
『脚を前に運び、足の指で地面をつかみ、身体を前に引き寄せる』
という歩き方です。
『ウォーキング』動作も『すり足』動作も、両方とも効率の良い身体の使い方だと私は考えています。どちらが間違っているというわけではなく、どちらも正しいんだろうと思います。
しかし、平成生まれの若い世代の日本人のウォーキング動作や立ち姿勢には、違和感を感じてしまいます。日本の国技である相撲には、『死に体』という言葉がありますが、若い世代の日本人のウォーキング動作や立ち姿勢を見て感じる違和感に、この表現が見事にあてはまっていると私は思いました。
『死に体』とは、土俵を割っていなくても、すでに身体に力が無い状態、勝負のついた状態のことをいいます。Wikipediaによると、『死に体』とは、
・腰や膝が伸びきって棒立ちとなっている
・つま先が土俵をかまず、かかと立ちになっている
・相手力士にただしがみついているだけで、相手がいなければそのまま
倒れるような状態
以上の3つのような状態のことをいいます。膝が伸びきって棒立ちになっている。女の子では、膝が反り返ってしまっている場合も多いです。立っていても何だかグラグラしている。電車の中では、つり革にしがみついたり、壁に身体をよりかけていないと立っていられない。若い世代に、そんな身体をした人が増えてきたように思います。日本人は靴という道具を上手く使えていないというのが、その原因の一つなのではないかと私は考えています。
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