2010.07.14
「なぜ日本人の体型は胴長短足だったのか」1の⑥
・身体の形が違うということ
身体の形が違うということは、その身体の機能が違う、得意とする動作が違う、という
ことだと私は考えています。スポーツ選手の体型を思い浮かべてみてください。
スポーツ選手は、その競技によってみんな体型が違いますね。100m走、マラソン、走り高跳び、砲丸投げ、バレーボール、レスリングなど、みんな身体の形が違います。これは身体の機能が違うからです。競技によって、それぞれ訓練していく動作が違います。
100mの距離をどうしたら誰よりも速く走れるか、42.195kmをいかに短い時間で走り切るか、どうすれば空高く跳び上がれるのか、重い球を遠くに投げ飛ばすにはどうしたらよいか、を研究し突き詰め、練習を積み重ねていくと、あの体型が出来上がるわけです。
身体の形だけ真似しても、その機能が備わるわけではありません。身体の機能が、その形に表れるんです。身体の使い方が変わると、身体の形が変わってきます。身体の形が変わってきているんですから、きっと若い人の身体の使い方が変わってきたのだと思います。どうして若い人たちの身体の使い方が変わってきたのか。
また『養老孟司の<逆さメガネ>』からの引用になりますが、先生はこのようにおっしゃっています。
「それまで何百年も、この日本列島の中で体をいろんなふうに使ってきたんです。それなら全体に合理化され、統一された動きになるのは当然でしょ。動きは合理的だからこそ美しいのです。それをバラバラにしてきたのが、明治以来の「近代化」でしょ。」
国立民族学博物館助教授の野村雅一先生も、著書『しぐさの世界-身体表現の民族学 NHKブックス』でこのようにおっしゃっています。
「ひとはふだんつかっている以外の筋肉をなかなかつかおうとしないものであるとすれば、逆にまた、習慣的なしぐさの型に適合しない道具類は容易には採用されないことが予想される。けれどもまた、いったん新しい衣服、家具、作業用具などが導入されると、それにあわせて伝統的なしぐさや姿態に変化が生じるはずである。」
「合理的だった動きがバラバラになった」、「伝統的なしぐさや姿態に変化が生じた」、今の若い人の身体を表現するのにぴったりな表現だと私は思いました。
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