【連載】胴長短足⑦靴の機能の仕方と下駄の機能の仕方の違い①

2010.08.31
「なぜ日本人の体型は胴長短足だったのか」2の⑦
・靴の機能の仕方と下駄の機能の仕方の違い①

履きものの重要な機能は、『足裏の保護』、『足のアーチ形成の補助』、『踵の動揺性の制御』の3つにあると考えています。

前述しましたが、下駄の底板や靴底は、足の裏を地面から保護してくれています。ガラスや植物の刺などで足裏を傷つけないように、日差しで焼けた砂の上で熱さを感じず歩けるように、降り積もった雪の上でも冷たくないように保護してくれています。

次に、『足のアーチの形成の補助』について説明していきます。下の図のように、人の足には外側縦アーチ、内側縦アーチ、横アーチと呼ばれる3つのアーチがあり、(4つに分類することもあります。)土踏まずを構成しています。

(『好きになる解剖学Part2』竹内修二著 講談社 より)

足の横アーチ(上の図では前側アーチ)は、立って足底に体重をかけると、低くなり横に広がります。これには、歩く際にかかる地面からのショックを吸収してくれる働きがあります。

【体重がかかっていない時】

【立って体重がかかった時】

足の横アーチは、足の指を握りこむと高くなります。つま先立ちのように、さらに体重をかけると、アーチはまた一段と低くなります。

【指を握った時】

【立って体重がかかった時】

【つま先立ちの時】

足の横アーチの支え方に、靴と下駄の足への働き方の違いが見れます。

・指で地面を蹴る(指を伸ばす) - 足首を伸ばす
という歩行では、足の横アーチは下の図のように変化しています。

【立つ】

【地面を蹴る】

靴では、甲被が足の横アーチがこれ以上広がり過ぎないように抑えてくれています。横幅の広い緩い靴では、地面を蹴った時に足の横アーチを支えることができません。足の横アーチが逆向きに反り返ってしまい、足の人差し指や中指の付け根にマメができている女性がとても多いです。

【地面を蹴った時に甲被が支えてくれない】

これでは、歩行の際に地面から受けるショックを吸収できずません。足の横アーチが機能していない状態が長く続くと、扁平足や外反母趾などの足の障害の原因となります。

・指で地面を掴む(指を握る) - 足首を曲げる
という歩行では、足の横アーチは図のように変化しています

【立つ】

【地面を掴む】

下駄では、鼻緒に足の指を引っかけ、指を握り易くすることで足の横アーチを高く保たせてくれています。靴では、足の甲を締めつけることで、足の横アーチを保持しています。

下駄では、足の甲を広げることで、足の横アーチを保持しています。最後に、『踵の動揺性の制御』について説明していきます。

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